リフォームのご要望はさまざまですが、女性のお客様が、特に気にかけられるのがキッチンです。使い勝手を重視するのか、スタイリッシュな外観を追求するか、家族とのコミュニケーションを優先するか・・・。
リビング、ダイニングも含めたLDKは、暮らしの中核といっても良い重要なポイントになります。私は、LDKのスタイルを大まかに4つのタイプに分け、お客様にご提案しています。
1.【完全オープン】タイプ
ダイニングに突き出す半島のようなキッチンのレイアウトです(ペニンシュラ型)。ワークトップ(キッチンの上面)がフラットで、リビング、ダイニングから、手元までよく見えます。壁や吊り戸棚もないので、キッチンの奥まで丸見えです。もっともスタイリッシュで、コストも一番かかるタイプだといえるでしょう。なお、壁からキッチンが独立すると、アイランド型と呼ばれます。
○メリット
・とにかくかっこいい!
・家族とコミュニケーションしやすい
●デメリット
・価格が高い
・においや汚れがダイニング、リビングに移る
雑誌のグラビアを飾るような洗練されたキッチン。リビング、ダイニングへの視界が大きく開けており、ディナーの支度中でもご家族とコミュニケーションできます。多くの人が憧れるキッチンですから、誰かにちょっと自慢したくなりますね。
反面、使い勝手はいまひとつです。天ぷらやフライを揚げると、油がはねて、他の部屋まで汚れてしまうので、私はガラスパーテーションなどの設置をお薦めしています。においを遮るものもありませんから、三角コーナーに生ゴミをためることもできません。それに、キッチン家電も洗練されたデザインにしなければ、せっかくオシャレなキッチンにした意味がなくなります。ホームパーティなどを開くには素敵なスタイルですが、日常使いを考えると、こまめな片付けが苦にならない方向きです。
キッチンがダイニングに向かっているのは、「完全オープン」タイプと同じ。ただし、吊り戸棚や壁で、お料理する手元やキッチンの奥も隠れます。最近の新築住宅では、非常にポピュラーなパターンです。
キッチンのパネルは内側の人しか見ないので、さほど美しい仕上がりは求められません。その分、「完全オープン」より工費を抑えられるケースが多いようです。
○メリット
・ダイニングにいる人とコミュニケーションできる
・汚れが他の部屋に飛び散らない
●デメリット
・完全オープンのような開放感はない
上下に壁や戸棚があるので、においや汚れをまき散らすことはありません。同時に、目の前は開けているので、家事をしながらご家族との会話を楽しんだり、リビングで遊んでいるお子様の様子を見られます。使い勝手とコミュニケーションのしやすさを、うまく両立させたパターンです。「クローズキッチン」タイプ(後述)の壁に穴を開けて、「セミオープン」タイプにリフォームするケースもあります。
3.【壁向きダイニングキッチン】タイプ
キッチンが壁に向かって作られています。リビング、ダイニングとの間に、壁や仕切りがなく、お部屋の一部になったようなキッチンです。
○メリット
・開放感がある。広く使える
・オシャレなデザインが可能
●デメリット
・キッチンの中が丸見え
キッチンが丸見えですから、トビラやパネルは、インテリアに調和した色遣いなどを気にかけたいところです。見た目を重視するなら、布巾を干したりできませんし、ポットやコーヒーメーカーなどキッチン家電も、オシャレなものを置くことになります。
仕切りがなく、開放感があり、お部屋全体を広く感じられるのが良いところです。ご家族が、キッチンに立ちやすくなるかもしれません。
4.【クローズキッチン】タイプ
リビングやダイニングから、完全にキッチンが独立しています。隣のお部屋で家族がくつろいでいても、このキッチンでは会話はできません。
○メリット
・キッチンを自分だけの世界にできる
●デメリット
・家族とコミュニケーションしづらい
前述の通り、コミュニケーションには難があります。代わりに、キッチンを自分好みで、比較的自由に使うことができます。多少汚して良いかもしれませんし、ご家族に邪魔されず黙々と作業できるでしょう。最近の新築には1~3のようなオープンキッチンが多いのですが、お料理好きの方には、クローズキッチンもご検討いただきたいと思います。
システムキッチンといっても、すべてが杓子定規に決まっているわけではありません。キッチンの高さは85cmが標準ですが、これは身長165cmの人が使いやすいサイズだといわれています。とはいえ、ユーザーの身長はさまざまですから、システムキッチンの高さも80/85/90cmと、選択肢が用意されています。吊り戸棚や各キャビネットのサイズなども、ある程度、柔軟に選べるのが普通です。
用意されたものに自分が合わせるのではなく、自分が使いやすいよう部屋やキッチンを変えられるのが、リフォームの醍醐味。既存の間取りや設備を生かせば、コストを抑えつつ、理想に近いキッチンにできるかもしれません。一度、プロに相談してみてはいかがでしょうか?